そうか、もう君は いないのか
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本
おはようございます!
かやしまフォトスタジオOhanaの
カメラマン、石井達也です。
今朝はちょっと肌寒かったですね。
もう本格的に秋になった感じがします。
秋といえば…読書の秋
先日、家で寝転びながら
ふと本棚を見あげると
一冊の本が目に止まりました。
10年くらい前に買った本で
「たしか一度読んだはずだけど…」
あんまり記憶に無いなあと思いつつも
なんだか 気になり
再び、読んでみることにしました。
「落日燃ゆ」などで有名な
城山三郎の手記で
亡くなった奥さんのとの
出会いや日常などの思い出を
書き綴っています。
この人らしく淡々と書かれているのですが
長年寄り添う夫婦の絆や愛情が感じられ
温かい気持ちにしてくれます。
そして、一番、心に残ったのは
奥さんの亡くなった後に書かれた
「指揮官たちの特攻」という本の
テーマについて書かれた部分です。
容子が死んでみてわかったことだが(中略)
(特攻隊員たちは)淡くはかないものにせよ、
幸福な時間を持って死んでいった。
残されたほうは ただ ひたすら長い、
せつない、むなしい時間を
生きなければいけなかった。
これは、どちらが、より不幸なのだろうか。
この一文が奥さんに対する想いと
その死生観に共感して心が震えるのです。
だいぶ前になりますが、ボク自身、
ほぼ同じ時期にふたりの友人が
若くして 亡くなりました。
一人は癌で余命宣告されているような状態。
もう一人は元気いっぱいだったのに
ある日 突然、心臓発作で亡くなりました。
もちろん亡くなった事自体
とても悲しかったのですが
残された家族の気持ちを考えて
やるせない気持ちで
なにより悲しくなりました。
どちらが良かったのか、ではなく
自分だったらどちらを希望するのか
家族だったら…などと
考えてしまいます。
そして 未完で終わったこの手記の
あとがきに次女の井上紀子さんが
娘からみた父の様子が書かれているのですが
手記の淡々とした感じと違い
実際にどれだけの想いがあったのか
そこにいて当たり前の存在が
失われた様子が書かれていました。
本のタイトルでもあるように
ふと話しかけようとして、われに返り
「そうか、もう君はいないのか」と
なおも容子に話しかけようとする。
妻に限らず大切な人と
ともに生きていくということの意味。
今、当たり前と思っていることが
なんて幸せで大事なものなのか
と考えさせられる本でした。
家族と過ごす毎日や
幸せな家族の写真を撮影するたびに
そんな事を大事にしたいと思うのです。
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